今のご時勢、電磁波が体に悪いと言うと、ちょっと非常識な人だと思われるかもしれません。
しかし、これは実際に数多くの科学論文が指し示していることなのです。
私も実際に自分の目で確かめてみるまでは、半信半疑でした。
この記事では、携帯電話などの電磁波が健康に悪影響を与えることを示した、全部で200件の研究を紹介します。
人で示された健康影響は、以下のように極めて多岐に渡っています。
生殖機能の異常
男性不妊・精子減少・女性不妊・流産・先天異常・低出生体重児・男児出生減少など
脳機能の異常
問題行動・ADHD・記憶力低下・認知症・アルツハイマー病・ALS・電磁波過敏症・うつ病・自殺・体内時計の乱れ・神経伝達障害など
がん
白血病・悪性リンパ腫・脳腫瘍・乳がん・精巣がん・膵臓がん・肺がんなど
様々な臓器の異常
不整脈・心筋梗塞・慢性閉塞性肺疾患・ぜんそく・糖尿病・自律神経の乱れ・肝機能と腎機能の低下・白内障など
また電磁波が実際に各種の臓器を損傷することも、主に動物実験によって示されています。
損傷部位は精巣、卵巣、受精卵 (胚)、脳、心臓、肺、膵臓、肝臓、腎臓などで、こちらも多岐に渡ります。
たとえば以下は動物実験から抜粋した写真ですが、目に見えて臓器が損傷を受けているのがわかります。
脳の損傷
精巣の損傷
受精卵 (胚) の損傷
膵臓の損傷
これらの動物実験は、電磁波による人の健康への多岐に渡る影響を裏付けるものです。
また、電磁波は主に活性酸素を増加させることで健康に影響を与えることがわかってきています。その仕組みについては以下の記事で解説しています。
前回の記事では、電磁波が健康に悪影響を及ぼすことを示した多数の研究を紹介しました。 この記事では続いて、その仕組みについて説明します。 電磁波は主として活性酸素を増加させることで、健康に悪影響を与える… 記事全文を読む
生殖機能の異常
電磁波被曝により、精子が減少し、男性不妊、女性不妊、流産、先天異常、低出生体重児などが増加し、また男児出生率が減少することが示されています。
近年、精子の数は減少傾向にあり、不妊、流産、先天異常、低出生体重児、早産は増加傾向にあり、また男児出生率は減少傾向にあります。
これらの異常の多くは、携帯電話の商用サービス開始に合わせて増加が始まっており、電磁波はその増加の主要因として疑われます。
近年の傾向
精子減少 :
全大陸
不妊 :
米国
日本
先天異常 :
ダウン症候群
エドワーズ症候群
胃壁破裂
嚢胞腎
横隔膜ヘルニア
尿道下裂
腎無発生
流産 :
米国
スウェーデン
低出生体重児 :
米国
日本
早産 :
米国
日本
世界
男児出生率 :
米国
日本
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男性不妊・精子減少
まず、男性の携帯電話、携帯基地局、高圧線、電化製品からの電磁波被曝により、精子の数が減少し、精子の質が劣化し、男性不妊が増加したことを示す研究を紹介します。
研究紹介
Agarwal et al. 2008
オハイオ州クリーブランドの不妊クリニックに通う平均31歳の男性について、1日の携帯電話の利用時間が長くなるほど、精子の数が減少し、運動性と生存率が低下し、精子異常が増加しました。
精子減少
精子の数が、携帯電話の1日4時間以上の利用で4割減少しました。
精子の運動性と生存率の低下
精子異常の増加
正常な形の精子の割合が、携帯電話の1日4時間以上の利用で5割減少しました。
Ding et al. 2018
中国の陝西省の遺伝クリニックに通う男性について、スマホ・携帯基地局・Wi-Fiからの1日あたりの電磁波の被曝時間が増加するほど、精液中の活性酸素が増加し、精子の数が減少し、運動性が低下し、さらに精子のDNAの切断が増加しました。
活性酸素の増加
総抗酸化能、抗酸化活性の減少は活性酸素の増加を意味します。
精子減少
精子の数が、スマホ・携帯基地局・Wi-Fiの電磁波の1日2時間超の被曝で7割減少しました。
精子の運動性の低下
DNAの切断はコメットアッセイで検出します。コメットアッセイにおいては、DNA切断が多くなるほど、Tail DNAは多くなり、Head DNAは少なくなり、Olive Tail Momentは大きくなります。
DNA切断の増加
Kilgallon and Simmons 2005
西オーストラリア大学で募った18-35歳の男性について、携帯電話を精巣の近くに所持していると、精子の数が減少し、精子の運動性が低下しました。
精子減少
精子の数が、携帯電話を腰のポケットやベルトに所持していると1割減少しました。
精子の運動性の低下
精子の運動性が、携帯電話を腰のポケットやベルトに所持していると1割減少しました。
Fejes et al. 2005
ハンガリーのセゲト大学で不妊治療中の平均31歳の男性について、携帯電話を長時間に渡り体近くに所持していると、精子の数が減少しました。
精子減少
精子の数が、携帯電話を体から50cm以内に20時間以上所持していると1割減少しました。
El-Helaly et al. 2010
エジプトのマンスーラ大学病院で不妊治療中の平均30歳の男性について、職場でのビデオ表示端末 (VDT) とパソコン (※) を利用していると、男性不妊が増加しました。
パソコンの無線機能を利用していると、高周波電磁波を被曝します。
男性不妊の増加
男性不妊のオッズが、職場でVDTとパソコンを利用していると8倍になりました。
Otitoloju et al. 2009
オスマウスを携帯基地局が近隣に1つある複合施設、あるいは2つある住宅街で6か月生活させました。
すると近隣の携帯基地局の個数が増加するほど、精子異常が増加しました。
高周波電磁波の強さは対照施設で0.001μW/cm2、商業施設で0.063μW/cm2、住宅街で0.103μW/cm2でした。(※)
空間インピーダンス377Ωとして、論文記載の電界の強さから計算。
精子異常の増加
精子頭部の異常が、携帯基地局が近隣に1基あると19倍、2基あると22倍になりました。
精巣の損傷
次に、携帯電話などからの電磁波被曝でラットやマウスの精巣が損傷し、精子の数が減少し、精子の質が劣化したことを示す研究を紹介します。
精子形成
男性の精巣には、精細管と呼ばれる多数の管が存在し、この中で精子が盛んに形成されています。
精細管の内面には精原細胞と呼ばれる幹細胞が存在します。精原細胞は自己複製を行い、いくつかは精母細胞へと変化します。精母細胞が分裂すると精細胞へと変化します。そして精細胞が成長すると精子になります。
精原細胞、精母細胞、精細胞は精子形成細胞とも呼ばれます。
これらの精子形成細胞は精細管の内側へと進みながら成熟していき、中央部で精子となると、精子を貯蔵する精巣上体へと運ばれます。精子形成細胞は、哺育細胞として知られるセルトリ細胞によって支持され、栄養供給をうけています。
そして電磁波被曝により、ラットやマウスの精巣の精細管が損傷をうけ、精子形成細胞や精子が減少することが示されています。
男性不妊症の90%もが精子数に関係しているので (Kumar and Singh 2015)、精子減少は男性不妊に直結するといえます。
研究紹介
Hasan et al. 2021
スマホを飼育ケージの天井に設置して、1日40分か60分着信中にし、子ども・青年に相当する生後6週のオスマウスがその電磁波を60日間被曝しました。
すると精巣の精細管が損傷し、精子形成細胞と精子が減少しました。
また体重増加率の減少もみられましたが、これについては発育遅延の所で紹介しています。
精巣の精細管の損傷
Bin-Meferij and El-Kott 2015
局所SAR 0.96 W/kgの携帯電話の試験機を飼育ケージの中央に設置し、青年に相当する生後2ヶ月のオスラットがその電磁波を1日1時間、7週間被曝しました。
すると血液中の活性酸素が増加し、精細管が損傷し、精子の数が減少し、精子の運動性と生存率が低下し、精子の異常が増加しました。
また抗酸化作用のあるモリンガの投与は、上述の被害を抑制しました。
活性酸素の増加
脂質過酸化の増加と抗酸化活性の減少は活性酸素の増加を意味します。
精子減少
精子の数が、携帯電話の電磁波被曝で6割減少しました。抗酸化作用のあるモリンガはそれを抑えました。
精子異常の増加
精子の生存率と運動性の低下
Pandey et al. 2016
青年に相当する生後8-10週のオスマウスが、携帯電話の電磁波に似せた高周波電磁波を、1日4時間か8時間、35日間被曝しました。
すると電磁波の1日の被曝時間が長くなるほど、精細管が損傷・萎縮して精巣が縮小し、精子の数が減少し、精子異常が増加し、精巣においてDNAの切断が増加しました。
また、被曝から時間が経つと上述の損傷はある程度回復しました。
精細管の萎縮
精巣の縮小
精子減少
精子異常の増加
DNAの切断はコメットアッセイで検出します。コメットアッセイにおいては、DNA切断が多くなるほど、Tail DNAは多くなり、Head DNAは少なくなり、Olive Tail Momentは大きくなります。
DNA切断の増加
Kumar et al. 2014
局所SAR 1.34 W/kgの携帯電話を設置して1日2時間会話中にし、青年に相当する生後10週のオスラットが近接してその電磁波を60日間被曝しました。
すると精子の活性酸素が増加し、精子の数が減少し、精巣が縮小し、さらに精子のDNAの切断が増加しました。
活性酸素の増加
精子の脂質過酸化の指標であるTBARSが、携帯電話の電磁波被曝で6割増加しました。
脂質過酸化の増加は活性酸素の増加を意味します。
精子減少
精子の数が、携帯電話の電磁波被曝で2割減少しました。
精巣の縮小
DNAの切断はコメットアッセイで検出します。コメットアッセイにおいては、DNA切断が多くなるほど、Tail Migrationは増加し、Tail Lenghは長くなり、%DNA in Tailは多くなり、Olive Tail Momentは大きくなります。
DNA切断の増加 1
DNA切断の増加 2
女性不妊
次に、女性の高圧線からの電磁波被曝により、女性不妊が増加したことを示す研究を紹介します。
研究紹介
Esmailzadeh et al. 2019
イランのマーザンダラーン州バーボルの不妊クリニックに通う平均28歳の女性について、自宅から高圧線までの距離が短くなるほど、女性不妊が増加しました。
女性不妊の増加
女性不妊のオッズが、高圧線の500m以内で4倍になりました。
卵巣の損傷
次に、携帯電話からの電磁波被曝でラットやマウスの卵巣が損傷し、健全な卵胞の数が減少し、そして閉鎖卵胞の数が増加したことを示す研究を紹介します。
卵胞形成
卵巣内には、卵胞と呼ばれる細胞の集まりが多数あり、それぞれが1個の卵子 (正確にはその前駆体である卵母細胞) を含んでいます。 卵胞は、卵子、卵子を支える顆粒膜細胞、顆粒膜細胞を覆う被膜である莢膜細胞で構成されています
卵胞は通常、休眠した状態で卵巣内に蓄えられており、これらは原始卵胞と呼ばれます。
このうちいくつかの原始卵胞がホルモンの刺激を受け覚醒し、一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞と約1年かけて段階的に成長します。
成熟卵胞まで至った卵胞は排卵を行います。
この過程で排卵まで至らなかった卵胞は、卵胞閉鎖と呼ばれる卵胞の死に至ります。
この卵胞閉鎖ですが、卵胞の顆粒膜細胞の細胞死によって引き起こされていることが実証されています。(SUGINO 2005)
卵胞閉鎖は、女性不妊と強く関連していることが示されており (Yao et al. 2021)、ある研究では原因不明の不妊症の女性において、顆粒膜細胞の細胞死が3倍になっていることを発見しました。 (İdil et al. 2004)。
そして電磁波被曝により、ラットやマウスの卵巣が損傷し、顆粒膜細胞の細胞死が増加し、原始卵胞、二次卵胞、一次卵胞、成熟卵胞の数が減少、そして閉鎖卵胞の数が増加することが示されています。
研究紹介
Türedi et al. 2016
妊娠中のメスラットが強さ26.5 μW/cm2で900MHzの高周波電磁波を1日1時間、妊娠後期の1週間被曝しました。
すると生まれた娘ラットにおいて、一次卵胞の卵子が喪失し、原子卵胞、一次卵胞、成熟卵胞の数が減少し、閉鎖卵胞の数が増加しました。また卵巣が損傷し、顆粒膜細胞の細胞死が増加しました。
卵子の喪失
卵胞の減少
閉鎖卵胞の増加
娘ラットの閉鎖卵胞の数が、妊娠中の電磁波被曝で2倍になりました。
細胞死の増加 1
細胞死の増加 2
娘ラットの卵巣の細胞死の割合が、妊娠中の電磁波被曝で2倍になりました。
卵胞の変性 1
卵胞の変性 2
Rad et al. 2014
妊娠中のメスマウスが強さ3 mTで50Hzの低周波電磁波を1日4時間、妊娠全期の3週間被曝しました。
すると生まれたばかりの娘マウスにおいて、卵子が変性しました。
また成体まで成長した娘マウスにおいて、原子卵胞、一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞の数が減少し、閉鎖卵胞の数が増加しました。また卵巣が損傷し、顆粒膜細胞の細胞死が増加し、卵子が変性しました。
新生児の卵子の変性
成体の卵胞の減少
成体の卵巣の損傷
成体の閉鎖卵胞の増加
成体になった娘マウスの閉鎖卵胞の割合が、妊娠中の電磁波被曝で3倍になりました。
Bakacak et al. 2015
青年に相当する生後16週のメスラットが217Hzでパルス変調した900MHzの高周波電磁波を、全身SAR 0.018-4 W/kgで1日2時間、35日間被曝しました。
すると卵巣の原始卵胞の数が減少しました。
卵胞の減少 1
卵胞の減少 2
原始卵胞の数が、電磁波被曝で5割減少しました。
Panagopoulos et al. 2010
蛹から羽化したばかりの、メスとオスのショウジョウバエを別々の小瓶に入れ、局所SAR 0.89 W/kgの携帯電話から0cm-100cmの距離に配置し、その電磁波を1日6分、6日間被曝させました。
また性成熟する3日目からは、メスとオスを一緒の小瓶に入れて、交尾と産卵もさせました。
すると携帯電話に近くづくほど、メスの卵巣小管において細胞死が増加し、孵化した蛹の数が減少しました。
細胞死の増加 1
細胞死の増加 2
卵巣小管の細胞死の割合が、携帯電話に近づくほど増加しました。
蛹の数の減少
孵化した蛹の数が、携帯電話に近づくほど減少しました。
孵化した蛹の数の減少は、電磁波被曝によるオスメス双方の不妊化と、孵化率の減少という3つの要因が考えられます。
流産
次に、妊娠中の女性の携帯電話、携帯基地局、電化製品などからの電磁波被曝により、流産が増加したことを示す研究を紹介します。
研究紹介
Mahmoudabadi et al. 2015
イランのテヘランの18-35歳の妊娠中の女性について、正常妊娠の方と比べて、流産された方は携帯電話の電話時間が長く、アプリ利用率が高く、携帯電話を体近くに携帯する割合が高くなりました。
電話時間が長い
携帯電話の電話時間が、流産された女性では3倍になりました。
アプリ利用率が高い
携帯電話のアプリ利用率が、流産された女性では2倍になりました。
身体近くに携帯
論文記載データから、流産の増加度を独自に計算しました。
流産の増加 (アプリ利用)
流産のオッズが、妊娠中の携帯電話のアプリの利用で3倍になりました。
流産の増加 (体近くの携帯)
Zhou et al. 2015
北京産科婦人科病院で受診した妊娠中の女性について、正常妊娠の方と比べて、流産された方は携帯基地局の近くに住んでいる割合が高くなりました。
携帯基地局の近くに居住
携帯基地局の100m以内に居住している割合が、流産された女性では2倍になりました。
論文記載データから、流産の増加度を独自に計算しました。
流産の増加 (携帯基地局の近隣)
流産のリスクが、妊娠中に携帯基地局の100m以内に住んでいると2倍になりました。
Wang et al. 2013
中国珠江デルタの2都市の妊娠中の女性について、自宅の正面路地の低周波電磁波が強いと、流産が増加しました。
流産の増加
流産のハザードが、妊娠中の女性の家の前の路地の低周波電磁波が0.1μT以上で1.7倍になりました。
Li et al. 2017
サンフランシスコのベイエリアに住む、大手健康維持機構 (HMO) の妊娠中の会員について、1日平均で被曝する低周波電磁波が強いと、流産が増加しました。
流産の増加
流産のハザードが、妊娠中の女性が1日平均で被曝する低周波電磁波が0.25μT以上で2.7倍になりました。
上記の2つの研究における流産のハザードの増加は、単位時間あたり (例:週あたり) の流産率の増加を意味します。
参考までに、これらの流産のハザード比を1981-1982年のカリフォルニア州における週別の流産率 (Goldhaber and Fireman 1991) に適用したグラフを以下に示します。
週別の流産率の増加
妊娠20週における流産率が、低周波電磁波が0.1μT以上で11%から18%と1.6倍、0.25μT以上で27%と2.5倍になりました。
受精卵 (胚) の損傷
次に、電磁波被曝により受精卵 (胚) が損傷し、不妊と流産が増加したことを示す研究を紹介します。
胚発生
卵子が受精すると、胚発生と呼ばれる受精卵から胎児 (妊娠第8週) になるまでの過程を開始します。
胚発生は卵割期、胞胚形成期、原腸形成期、器官形成期という段階に分けられます。
卵割期
卵割期では、受精卵が細胞分裂を繰り返し、細胞数が1→2→4→8→16、、、と2の累乗で増加していきます。成長を伴わない分裂を行うため、分割が進むほど個々の細胞は小さくなります。
この段階で受精卵の分割が停止してしまうことがあり、不妊の原因として知られています。(Mohebi and Ghafouri-Fard 2019)
実のところ、分割を停止した受精卵は細胞死に向かっており、卵割期に停止した受精卵の90%もが細胞死の兆候を示していることがわかっています。(Hardy 1999)
そしてマウスやラットの電磁波被曝により、胚において細胞死が増加し、卵割期から胞胚形成期にかけて胚の質が低下および胚の死が増加し、不妊が増加することが示されています。
胞胚形成期
卵割期で細胞数が増えると、続く胞胚形成期において受精卵の細胞は卵の内面に整列し、胞胚腔と呼ばれる液体で満ちた空洞を形成します。さらに内細胞塊と呼ばれる、後に胎児となる細胞群を形成します。
この受精から5-6日目に形作られる胚のことを、胚盤胞 (哺乳類以外では胞胚) といいます。
胚盤胞が胎盤に着床した時点で、妊娠が成立したとみなされます。
胚盤胞の質の低下と細胞死の増加には相関があるようです。形態が良好な胚盤胞では細胞死は10%未満でしたが、形態が不良な胚盤胞では27%にも上りました。(Hardy 1999)
高品質の胚盤胞の着床率は高く、低品質の胚盤胞の着床率が低くなります。(Balaban et al. 2000)
人を含む哺乳類では、着床に失敗すると早期に胚が失われ、不妊となります。 (Seshagiri et al. 2009)
そしてマウスやラットの電磁波被曝により、胚盤胞の細胞死が増加、卵割期から胞胚形成期にかけて胚の質が低下および胚の死が増加、さらに着床数も減少し、不妊が増加することが示されています。
原腸形成期以降
着床後の胚の死は、流産とみなされます。
流産を引き起こす最も主要な要因は、染色体異常です。(Hassold and Hunt 2001)
染色体異常は不妊や先天異常の要因でもあります。
人や動植物の電磁波被曝により、染色体異常が発生することを示した実験が数多く存在します。これらの研究については、電磁波が健康に影響を与える仕組みで紹介しています。
ここではラットの電磁波被曝により、着床前あるいは着床後の胚の死が増加し、不妊あるいは流産が増加することを示した研究を紹介します。
研究紹介
Safian et al. 2016
メスマウスに排卵誘発剤を注射してオスマウスと交尾させ、翌日に受精卵 (胚) を摘出しました。
続けて局所SAR 0.683-0.725 W/kgの携帯電話を培養器の上に設置して、1日30分会話中にし、2日目の胚が10cm以上の距離をとってその電磁波を4日間被曝しました。
すると卵割期から胞胚形成期にかけて死んだ胚が増加し、胚の質が低下しました。また、5日目の胚盤胞において細胞死が増加しました。
死んだ胚の増加
胚の質の低下
卵割期から胞胚形成期における高品質の胚の割合が、携帯電話の電磁波被曝で減少しました。
胚盤胞の細胞死の増加 1
胚盤胞の細胞死の増加 2
Borhani et al. 2011
メスマウスが強さ500 μTで50Hzの低周波電磁波を1日4時間、12日間被曝しました。
また、被曝8日目には排卵誘発剤を注射して、オスと交尾させました。つまり8日目以降は受精卵 (胚) も被曝しました。
すると胚盤胞の細胞死が増加してその数が減少し、不妊が増加しました。
胚盤胞の細胞死の増加 1
胚盤胞の細胞死の増加 2
胚盤胞の細胞死の割合が、電磁波被曝で5割増加しました。
胚盤胞の減少
胚盤胞の数が、電磁波被曝で4割減少しました。人であれば着床失敗、つまり不妊に直結します。
不妊の増加
妊娠したメスの割合が、電磁波被曝で3割減少しました。不妊が増加したといえます。
Alchalabi et al. 2016
メスラットをオスラットと交尾させ、受精を確認しました。
続けてメスラットが、携帯電話の電磁波に似せた高周波電磁波を、全身平均SAR 0.048 W/kgで1日1時間か2時間被曝しました。
被曝期間は妊娠初期の1週間、あるいは妊娠初期・中期の2週間、あるいは妊娠全期の3週間のいずれかでした。
すると電磁波の被曝時間と期間が長くなるほど、胎児血液中の活性酸素が増加し、不妊・流産が増加しました。
また胎児の体重の減少、奇形化もみられました。
活性酸素の増加
脂質過酸化の増加と抗酸化活性の減少は活性酸素の増加を意味します。
不妊・流産の増加 1
不妊・流産の増加 2
妊娠1週目のデータ
妊娠2週目のデータ
妊娠3週目のデータ
奇形化
出生数減少
次に、電波塔あるいは携帯基地局からの電磁波の、オス・メス・受精卵 (胚) の同時の被曝により、出生数が減少したことを示す研究を紹介します。
これらは電磁波被曝によるオスとメスの不妊化、流産の増加あるいは孵化率の減少という、3つの複合的な要因を確認する実験となります。
また、ラットのつがいのオスメスいずれかの電磁波被曝により、妊娠したメスが減少したこと、つまりオスメス双方ともに不妊化したことを示す研究も紹介します。
研究紹介
Magras and Xenos 1997
ギリシャのテッサロニキのホルティアティス山の頂上には、アンテナパークと呼ばれる電波塔の密集地帯があり、1997年時点で100基近くの商用テレビとFMラジオ放送用の送信機が設置されていました。
このアンテナパークに対して住民が健康への不安を抱き、それに応える形で本研究が着手されました。
生後2か月のマウスのつがいを、山麓の村とアンテナパーク近くの丘陵地で6ヶ月間生活させ、その期間中に交尾を5回実施させました。
高周波電磁波の強さは山麓の村で1.1 μW/cm2、丘陵地で0.168 μW/cm2、対照施設となる研究所で0.0001 μW/cm2でした。
すると被曝期間が長くなるほど、また電磁波が強くなるほど、出生数が減少し、最終的に子どもが生まれなくなりました。
出生数の減少
出生数が、電磁波の被曝期間が長くなるほど、また電磁波が強くなるほど減少しました。低被曝の丘陵地では5回目の交尾で、高被曝の山麓の村では3回目の交尾で、出生数が0匹になっています。
出生数の減少は、電波塔からの電磁波の被曝によるオスメス双方の不妊化と、流産の増加が原因であると考えられます。
Balmori 2005
スぺインのバリャドリッドのコウノトリについて、携帯基地局の近くで営巣していると、ヒナがいない巣の割合が増加し、巣立った若鳥の数が減少しました。
平均の高周波電磁波の強さは携帯基地局の200m以内で1.48 μW/cm2、200m以上離れていると0.075 μW/cm2でした。(※)
空間インピーダンス377Ωとして、論文記載の電界の強さから計算。
ヒナがいない巣の増加
ヒナがいない巣の割合が、携帯基地局から200m以内で12倍になりました。
巣立った若鳥の減少
巣立った若鳥の数の減少について、ヒナがいる巣に限定すると大きなは影響みられなかったことから、携帯基地局の電磁波は主に、ヒナがいない巣の割合の増加に影響を与えているといると言えます。
ヒナがいない巣の割合の増加は、携帯基地局からの電磁波の被曝によるオスメス双方の不妊化と、孵化率の減少が原因であると考えられます。
Al‐Akhras et al. 2001
成体のオスラットとメスラットが強さ25μTで50Hzの低周波電磁波を90日間被曝しました。
その後、被曝したオスと無被曝のメス、無被曝のオスと被曝したメスの組合わせで交尾させました。
するとどちらの組み合わせでも、妊娠したメスの割合が減少しました。つまり被曝したオスメス双方が不妊になったといえます。
まず被曝したオスと無被曝のメスの組み合わせです。
オスの不妊化
妊娠したメスの割合が、オスの電磁波被曝で5割減少しました。つまりオスが不妊化したといえます。
胎児吸収率の増加
胎児吸収率が、オスの電磁波被曝で9倍になりました。つまりオスの精子が劣化したといえます。
電磁波被曝を避けていると妊娠したメスの割合は回復しましたが、胎児吸収率に改善はみられませんでした。これには例えば、精子の幹細胞 (精原細胞) の増殖によってオスの精子量が回復した一方で、変異した精原細胞が駆逐されずに居残ってしまった、などの理由が考えられます。
次に無被曝オスと被曝メスの組み合わせの結果です。
メスの不妊化
妊娠したメスの割合が、メスの電磁波被曝で4割減少しました。つまりメスが不妊化したといえます。
着床数の減少
着床数が、メスの電磁波被曝で5割減少しました。人であれば着床失敗、つまり不妊に直結します。
先天異常
次に、妊娠中の女性の電化製品などからの電磁波被曝により、先天異常が増加したことを示す研究を紹介します。
また男性の高圧線などからの電磁波被曝により、子どもの先天異常が増加したことを示す研究も紹介します。
研究紹介
Ericson and Källén 1986
スウェーデン全土の妊娠中の従業員について、ビデオ表示端末 (VDT)を仕事で利用していると、赤ちゃんの先天異常が増加しました。
妊娠初期の頃のVDTの週の利用時間が長くなるほど、それが顕著になりました。
先天異常の増加
赤ちゃんの先天異常のオッズが、妊娠中のVDTの利用で6割増、妊娠初期の頃の利用で7割増加しました。
先天異常の増加 (妊娠初期)
赤ちゃんの先天異常のオッズが、妊娠初期の頃のVDTの利用が週に10時間以上で2.0倍、20時間以上で2.3倍になりました。
本論文に調節済みオッズ比の記載はありません。
Nordström et al. 1983
スウェーデン電力委員会およびスウェーデンの電力会社1社の男性従業員について、高圧変電所に勤務していると、子どもの先天性奇形が増加し、また男性不妊が増加しました。
また男児出生率の減少もみられましたが、これについては男児出生率の減少の所で紹介しています。
先天性奇形の増加
子どもの先天性奇形の頻度が、高圧変電所での勤務で6倍になりました。
男性不妊の増加
男性不妊の有病率が、高圧変電所での勤務で3倍になりました。
Li et al. 1995
ワシントン州西部7郡の妊娠中の女性のうち、妊娠しにくかった女性 (※) について、電気毛布を利用していると、赤ちゃんの先天性尿路奇形が増加しました。
妊娠活動を12カ月超続けても妊娠しなかったことがある。
妊娠初期に利用していると、また利用時間が長くなるほど、それが顕著になりました。
先天異常の増加
先天性腎尿路奇形は出生前に診断される発達奇形の最も一般的な原因です (Stonebrook et al. 2019)。近年増加傾向にあると冒頭で紹介した、嚢胞腎と腎無発生はこの病気に含まれます。
Becker and Becker 1986
当時、ニュージャージー州のヴァーノン郡区 (Vernon Township) は町の中心から5マイル以内に3つの地球局を擁し、それぞれに少なくとも3つの衛星アンテナと29の地上波アンテナがあり、マイクロ波源が民間で世界一集中していました。
住民は郡区の一部地域で健康上の問題が異常に多く発生していることに気づき始め、これが市民グループの結成につながり、住民自ら郡区の疫学調査を開始しました。
すると先天異常、悪性腫瘍、染色体異常が町全体に無作為に分布しているのではなく、クラスターで発生していたことことがわかりました。
報告された症例の55%は居住人口の27%に過ぎない地域で発生しており、これらのクラスターは、地球局のアンテナからの放射ビームの経路と一致しているようでした。
なかでも、ヴァーノン郡区のダウン症の症例数は、全国平均に比べて多いことがわかりました。
ダウン症の増加
観測されたダウン症の症例数が、地球局からのマイクロ波に曝されたヴァーノン郡区において全国平均の4倍でした。
地球局のアンテナからのマイクロ波の強さは以下の通りでした。
マイクロ波の強さ
アンテナから600mの地点でも10 μW/cm2以上と、かなり強いマイクロ波が発されていました。
マイクロ波含む電磁波の危険水準については、5ページ目をご覧ください。
奇形化
次に、携帯電話などからの電磁波波被曝で、ニワトリの受精卵 (胚) の発育が遅延し、さらに奇形化したことを示す研究を紹介します。
研究紹介
Delgado et al. 1982
ニワトリの受精卵 (胚) に低周波電磁波を、周波数10, 100, 1000 Hz、電磁波の強さ 0.1, 1, 10 μTの9つの組合わせで48時間被曝させました。
すると胚の奇形が増加し、形態学的にみて100Hz×1.2μTの組み合わせで最も顕著な効果が得られました。
これは高圧線や電化製品が発するものに近く、妊娠中の方は特に注意が必要であるといえます。
奇形の増加 1
発達の遅延は、電磁波が増殖中の細胞に死をもたらすという点から説明が可能です。詳しくは電磁波が健康に影響を与える仕組みをご覧ください。
奇形の増加 2
電磁波被曝で様々な体の部位で奇形が増加し、特に神経系では7-8倍になりました。
奇形の増加 3
100Hz、1000Hz×1.2μTの組み合わせが最も顕著な効果を示し、奇形率は100%でした。
Augustianath et al. 2023
局所SAR 1.36 W/kgの2G携帯電話または1.12 W/kgの4G携帯電話を孵卵器の天井に設置して、1日50分か90分着信中にし、ニワトリの受精卵 (胚) がその電磁波を孵化するまで被曝しました。
すると胚の奇形が増加しました。
また被曝時間が長くなるほど、またSARが大きくなるほど(※)、孵化率が減少しました。
ただし通信方式も異なるため、従って電磁波の波形も異なるため、単純にSARの大きさによるものとは言えません。
奇形の増加
孵化率の減少
孵化率が、携帯電話の電磁波の1日90分の被曝で、2G携帯電話で6割減、4G携帯電話で4割減少しました。
孵化しなかったヒヨコ
低出生体重児
次に、妊娠中の女性の携帯電話、高圧線からの電磁波被曝により、低出生体重児が増加したことを示す研究を紹介します。
低出生体重児の抱える健康問題
低出生体重児とは、出生時の体重が2500g未満の赤ちゃんのことで、標準的な出生体重は2500g~4000gです。
日本では約10人に1人の赤ちゃんが低出生体重児として出生します。(Statistics of Japan)
低出生体重で生まれた赤ちゃんは以下のような様々な健康問題のリスクを抱えています。(Cleveland Clinic)
即時の問題
出生時の低い酸素濃度。
感染症。
黄疸。
未熟な肺による呼吸の問題。
脳内出血を含む神経系の問題。
腸の深刻な炎症など、消化器系の問題。
長期的
運動や社会性の発達の遅れ。
学習能力の差異。
高血圧、心臓病、肥満、糖尿病など、成長後の健康問題。
そして電磁波被曝により、低出生体重児が増加することが示されています。
研究紹介
de Vocht et al. 2014
イングランド北西部の妊娠中の女性について、高圧線や変電所から自宅までの距離が近づくほど、新生児の出生体重が減少し、低出生体重児が増加しました。
また、自然早産の増加もみられました。
出生体重の減少
新生児の出生体重が、妊娠中の女性の自宅が高圧線や変電所の50m以内で212 g減少しました。
低出生体重児の増加
低出生体重児のオッズが、妊娠中の女性の自宅が高圧線や変電所の50m以内で3倍になりました。
自然早産の増加
自然早産のオッズが、妊娠中の女性の自宅が高圧線や変電所の50m以内で2倍になりました。
Lu et al. 2017
熊本県の妊娠中の女性について、携帯電話を過度に利用していると、新生児の出生体重が減少し、また赤ちゃんの救急搬送が増加しました。
また男児出生率の減少もみられましたが、これについては男児出生率の減少の所で紹介しています。
出生体重の減少
妊娠中の女性の携帯電話の過度な利用で新生児の出生体重が129 g減少しました。
救急搬送の増加
救急搬送される新生児が、妊娠中の女性の携帯電話の過度な利用で8倍になりました。
Boileau et al. 2020
フランスのオート・ヴィエンヌの妊娠中の女性について、1日の携帯電話の利用時間が長くなると、胎児発育不全が増加しました。
胎児発育不全は、一般的に在胎不当過小 (SGA) の出生 (出生時体重が下位10%) を代用として定義されます。 (Hutcheon et al. 2021)
胎児発育不全の増加
胎児発育不全のオッズが、妊娠中の女性の携帯電話の1日30分以上の利用で5割増加しました。
強い相関はみられませんでしたが、これは1日4時間超の携帯電話の使用が、特に説明もなく「異常」として除外されていた点が関係しているかもしれません。
発育遅延
次に、スマホなどからの電磁波波被曝でラットやマウスの胎児・幼獣の発育が遅延したことを示す研究を紹介します。
研究紹介
Cao et al. 2006
妊娠中のメスマウスに強さ1.2 mTの50Hzの低周波電磁波を1日8時間、妊娠全期の3週間被曝させました。
すると出生数が減少し、胎児の体重増加率が減少し、また生後の発育に遅れが生じました。
出生数の減少
出生数が、妊娠中の電磁波被曝で4割減少しました。流産が増加したといえます。
体重増加率の減少
胎児の体重増加率が、妊娠中の電磁波被曝で4割減少しました。
発育の遅れ
妊娠中の電磁波被曝で仔マウスの目が開き、歯が生えるのが遅くなりました。生後の発育が遅れたといえます。
またその他の観察結果として、電磁波被曝群の胎児に奇形がみられました。
Hasan et al. 2021
スマホを飼育ケージの天井に設置して、1日40分か60分着信中にし、子ども・青年に相当する生後6週のオスマウスがその電磁波を60日間被曝しました。
すると体重増加率が減少しました。
また精巣の損傷もみられましたが、これについては精巣の損傷の所で紹介しています。
体重増加率の減少
無被曝群の体重増加率が6割だったのに対し、被曝群の体重増加率は1割と、大幅に体重の増加率が減少しました。
Sangun et al. 2014
妊娠中のメスラットが2450 MHzの高周波電磁波を全身平均SAR 0.143 W/kgで1日1時間、妊娠全期の3週間被曝し、さらに生まれた娘ラットが生後3週から思春期の始まり (子ども期に相当) まで被曝しました。
すると脳と卵巣において活性酸素が増加し、ホルモンバランスが乱れ、思春期の始まりが遅れました。
活性酸素の増加
酸化ストレスの増加は活性酸素の増加を意味します。
ホルモンバランスの乱れ
思春期の始まりの遅れ
発情期の始まりが、子ども期の電磁波被曝で2割、胎児期と子ども期の被曝で3割遅れました。
また餌と水の摂取量が増加しましたが、逆に体重増加率は減少しました。
餌と水の摂取量の増加
体重増加率の減少
体重増加率が、子ども期の電磁波被曝では変化なく、胎児期と子ども期の被曝で2割減少しました。
餌と水の摂取量が増加したにもかかわらず、体重増加率に変化が無い、あるいは減少したということは、代謝系に何らかの異常が起きていることが示唆されます。
男児出生率の減少
次に、男性の高圧線からの電磁波波被曝により、男児出生率が減少したことを示す研究を紹介します。
また妊娠中の女性の携帯電話からの電磁波被曝により、男児出生率が減少したことを示す研究も紹介します。
両親の環境・職業曝露の影響
100以上の研究が、両親の環境・職業曝露が出生時の子供の性比に影響するかどうかを調べています。 (Terrell et al. 2011)
父親の曝露については、ダイオキシン類が男児出生率を下げるという証拠が揃っています。 (Terrell et al. 2011)
また、DBCP剤 (土壌燻蒸剤)、鉛、メチル水銀、非電離放射線 (=電磁波)、小児がんに対する電離放射線治療、ホウ素、またはgフォースへの父親の曝露が、男児出生率を下げるといういくつかの証拠があります。 (Terrell et al. 2011)
一方で、母親の曝露に関連した性比の高低を発見した研究はほとんどありません。 (Terrell et al. 2011)
ヒトや動物を対象とした研究では、男性の妊孕性低下と男児出生数の減少が関連していることが判明していますが、環境危険因子が性比を変化させるメカニズムはまだ確立されていません。 (Terrell et al. 2011)
ここまでみてきたように、多くの研究が電磁波が男性の妊孕性を低下させることを示しています。したがって電磁波が男児出生率を下げる環境危険因子でもあったとしても、不思議ではありません。
研究紹介
Knave et al. 1979
スウェーデン電力委員会およびスウェーデンの電力会社1社の男性従業員について、高圧変電所に勤務していると、出生数、特に男児出生数が減少しました。
出生数の減少
Nordström et al. 1983
スウェーデン電力委員会およびスウェーデンの電力会社1社の男性従業員について、高圧変電所に勤務していると、男児出生率が減少しました。
また男性不妊と子どもの先天性奇形の増加もみられましたが、これについては先天異常の所で紹介しています。
男児出生率の減少
男児出生率が、高圧変電所での勤務で減少しました。
Lu et al. 2017
熊本県の妊娠中の女性について、携帯電話を過度に利用していると、男児出生率が減少しました。
また新生児の出生体重の減少もみられましたが、これについては低出生体重児の所で紹介しています。
男児出生率の減少
男児出生率が、妊娠中の女性の携帯電話の過度な利用で減少しました。